今回は、ちょっと変わった「日常の謎」を扱った本を紹介するぞ。
「日常の謎」といえば、のほほんとしたゆる~い感じですよね。
いや、今回は「殺し屋」が主人公だ。
「殺し屋」のターゲットにした標的の謎を解いていくんだ。
全然、のほほんとしていなかった……。
概要
コンサルティング会社を営む男、富澤允。彼には、650万円の料金で人殺しを請け負う「殺し屋」という裏の顔があった。ビジネスライクに「殺し」を請け負い、危なげなく仕事をこなす富澤だが、標的の奇妙な行動がなぜか気になり、仕事の度にその謎を推理してしまう―。殺し屋が解く日常の謎シリーズ、開幕!!(「BOOK」データベースより)
個人的ポイント
登 場 人 物 : 必要最低限の登場人物で、とても分かりやすかったです。
文 章 力 : さくさくと読みやすいです。
テ ー マ : 殺し屋とその標的が抱えている「謎」。
ト リ ッ ク : どれもユニークな謎ばかり。
後 読 感 : 是非とも続編を読んでみたいです。
どれも変わった謎ばかりで面白い。
殺し屋という主人公だから、起きる謎はどれも魅力的だったぞ。
感想
主人公が殺し屋、という斬新な設定な推理小説。
主人公の富澤が受ける殺しの依頼には、不可解な謎が付きまとっていて、それを彼自身が解決していく、という流れ。殺し屋なのに、探偵役でもある(笑) 殺しの標的にされている以上、「殺される理由」がある。それを解き明かしていくのは、面白かったです。
とある女性は、深夜に水筒の中身を公園に捨てるのは何故?
ある独身男性は、紙おむつを買って帰るのはどうして?
殺しの依頼に、母親が同伴するのは一体どんな理由が?
吸血鬼に殺されたように偽装してほしい、という依頼人の真意は?
そして、自分を殺すように依頼してきた人物は一体何者? などなど。
7つの短編が収録されていて、どれも読みやすい作品となっていました。
650万円で請け負う殺人。殺人を引き受ける期間や実行機関。そしてオプションなどがついていて、設定がよく作り込まれていました。
そして、主人公の富澤が殺人を行うシーンは残酷ではなく、割とサクッと行われていてグロくはありません。あまり人を殺すのは頓着なく、あくまでビジネスライクというのが好感を持てます。
一番好きな話は「標的はどっち?」です。
依頼を受けた富澤が同姓同名の女性の秘密を探っていくのが、面白かったです。
なんともブラックな日常の謎……。
しかし、この設定だからこそ出来るミステリで面白かったです。
こんな人におススメです
・殺し屋が主人公の作品を読んでみたい人。
・非日常の謎の作品を読んでみたい人。
・サクサクと読める短編集を読みたい人。
・シリーズ作品を追っていきたい人。