雪だるまの本棚

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【繋がる物語】〝煌夜祭〟多崎 礼―――語り部が織りなす魔物の物語


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今日は、冬至の夜に語られる物語「煌夜祭」を紹介するぞ。

丁度、12月21日に近いですね。

まあ、その頃を狙って読んだからな。
私にしては珍しいファンタジー小説だぞ。

確かにたぬき探偵にしては、珍しい事もあるんですね。

概要

 

生物も住めぬ死の海に浮かぶ十八諸島。“語り部”たちが島々を巡り集めた物語を語り明かすため、年に一度、冬至の晩に開かれる煌夜祭。今年もまた、“語り部”が語り始める。人を喰らう恐ろしくも美しい魔物の物語を。夜が更けるにつれ、物語は秘められた闇へ…。第2回C・NOVELS大賞受賞作に書き下ろし短篇「遍歴」を収録。(「BOOK」データベースより)

 

個人的ポイント

 

登 場 人 物 : カタカナだから若干分かり辛いかも?

文   章   力  : とても分かりやすかったです。

テ   ー   マ    : 短編集で別れていますが、最終的には「愛」になります。

後   読   感  : 切なくも、温かくなる物語でした。

 

冬至に行われる煌夜祭。
語り部たちは様々な魔物に関する物語を語り始める。

 

感想

 

とても、幻想的で切ない物語でした。

ミステリ要素があるちょっとしたダークファンタジー、という感じでしょうか?

18の島からなる世界。人を食うとされる魔物を治める為、語り部たちは島々から仕入れてきた物語を話す。これが「煌夜祭」。

2人の語り部は、黙々と魔物と人の物語を語る。

物語は7つ語られます。最初の方の物語は単純な「魔物と人」の物語、と思いきや。中盤あたりから「あれ?」と違和感を感じます。

そして、読み進めていくと、語り部たちが話す物語がパズルのピースだと判明していきます。「あ、これはこういうことか」「この登場人物は、あの話にも出て来たぞ!」「時系列はこうかな?」と断片的に散らばった物語を自分で繋ぎ合わせて、いろいろと考えてさせられて楽しいです。

そして、最後まで読むと、パズルのピースはすべて集まり「ひとつの絵」が現れてくるのです。この絵が、とても感動的で切ない。

悲しい魔物と魔物を愛した人たちの物語でした。

とても、面白い小説で、冬至の度にこの物語を思い出しそうなくらい印象に残った作品でした。また再読してみたいです。

 

物語もとても面白かったですが、個人的には作者のあとがきにも感動しました。

投稿歴17年の作者が胸に秘めていた言葉に思わず共感しました。

「自分にはこれ以上、切るカードがない。一番にはなれなかったけど、努力することだけは誰にも負けていなかったと思う」

引退したF1レーサーの言葉だそうです。

これを聞いて著者は夢を追っていくことを改めて決意したらしいです。「行けるとこまで行ってみよう」「書きたいと思う話が尽きて、手の内にカードがなくなったら、諦めよう」「夢が叶えられなくても、最善を尽くしたという誇りだけは残るはず」、と。

夢を追う事は決して、綺麗事だけではない。叶うとも限らない。でも、誇りを胸に常に努力していく。そうすれば「何かが」残る筈だ。

このあとがきで、作者は夢を追う人たちに、希望や勇気を与えてくれたのだと、私は思います。

 

最初は敵視していた魔物の辛い運命に涙です。
愛し、愛されるのがこんなに辛いなんて……。

 

こんな人におススメです

 

・神秘的で幻想的なファンタジー小説を読みたい人。

・徐々に繋がっていく物語を読みたい人。

・緻密に作られた世界観を味わいたい人。

・魔物の正体を知りたい人。