今回は〝UMAシリーズ〟の一冊である「TENGU」を紹介するぞ。
UMA、というと未確認生物のことですよね?
その通り。
今作は「天狗」の仕業としか思えない犯行が相次ぐんだ。
その「天狗」の正体を追っていくのがこの作品なんですね。
概要
26年前の捜査資料と、中央通信の道平(みちひら)記者は対面した。凄惨きわまりない他殺体の写真。そして、唯一の犯人の物証である体毛。当時はまだなかったDNA鑑定を行なうと意外な事実が……。1974年秋、群馬県の寒村を襲った連続殺人事件は、いったい何者の仕業だったのか? 70年代の世界情勢が絡む壮大なスケールで、圧倒的評価を得て大藪春彦賞に輝いた傑作。
個人的ポイント
登 場 人 物 : やや多め。ちょっと覚え辛いかも?
文 章 力 : びっしりと書いているけど、読みやすい。
テ ー マ : 天狗の正体の裏に隠れる陰謀。
ト リ ッ ク : まさかの天狗の正体でした……。
後 読 感 : 最後の最後が気になる。主人公の気持ちを覗いてみたい。
26年前に起きた連続殺人事件。
その犯人の犯行はとても人間業とは思えず、迷宮入りしてしまう……。
感想
壮絶なミステリーであると共に、壮大な恋愛小説でもありました。
1974年の群馬の寒村で起きた連続怪死事件。その殺害方法はとても人間業とは思えないものばかり。
頭蓋骨をリンゴのように潰したり、とんでもない怪力を発揮して人を投げ飛ばしたり、犬を食い殺したり、在り得ない高さの枝に人が吊るされていたり……。これは村に伝わる「天狗」の仕業なのでは? と騒がれる。
そして犯人と思わしき体毛から導かれたDNAは、人間とは一致しなかった。しかも既存の類人猿でさえなかった……。一体、犯人は何者なんだ!?
更に、事件を追い掛けていくと米軍や日本警察の隠蔽もあり、一体どんな陰謀が秘められているんだろう……。
こういった、未知の生物が起こす殺人事件ってかなり自分好み。当時の時事ネタなどがふんだんに含まれているからとてもリアリティがある。読む人によってはホラーかもしれないです。
どんな謎が秘められているんだろう、とワクワク。
事件の鍵を握る盲目の美女との恋の行方に、ドキドキ。
徐々に明らかになっていく真実に、ウキウキ。
全く飽きる事の無い作品で、あっという間に読了しました。
結末はとてもロマン溢れるもので、とても気持ちがよかったです。最後の最後で「天狗」の正体が判明して良かったです。
切なくも、謎めいたミステリー小説でした。
天狗の謎に迫っていく描写は、リアリティが抜群でした。
こんな人におススメです
・天狗の正体が気になる人。
・謎が謎を呼ぶ展開のミステリを読みたい人。
・大藪春彦賞賞作を追っている人。
・UMAシリーズを読んでいる人。