3人のテロリストが活躍する短編集を紹介するぞ。
テロリスト……。
穏やかな言葉じゃありませんね……。
しかし、内容は想像しているような血みどろな物じゃないぞ。
こんなもので、国家転覆するのか? と首を傾げるようなテロ行為ばかりだ。
一体、どんなテロリストたちなんだろう……。
概要
コードネーム、久米・宮古・輪島のテロリスト三人。組織の目的は、一般人を装ったメンバーが、流血によらず、政府への不信感を国民に抱かせることだ。彼らの任務は、レモン三個をスーパーに置いてくるなど、一見奇妙なものだった。優秀な遂行ぶりにもかかわらず、引き起こされた思わぬ結果とは。テロ組織の正体は。そして彼らの運命を握る第四のメンバーの正体は―。本格推理とテロリズムの融合!(「BOOK」データベースより)
個人的ポイント
登 場 人 物 : 主に3人の主人公+α。覚えやすい。
文 章 力 : 読みやすく、すいすいとページが捲れます。
テ ー マ : テロとそこに潜む謎。
ト リ ッ ク : どれも深く考えられている。
後 読 感 : 衝撃の結末! まさかこんな展開になるなんて……。
何でこんな指令がテロ行為なんだ? という命令ばかり。
どういった理由でテロ行為に結びつくかを推理するぞ。
感想
スーパーの棚に檸檬を置く。
砂場にプラスチックの粉を混入させる。
電車の網棚に新聞紙を丸めて紙袋に詰めて放置する。
青空教室を支援する。
深夜のコンビニで働く。
農業大の女子学生と付き合う。
などなど……。意味不明な指令ばかり。テロ行為というよりもどれも小中学生の悪戯のよう。
こんな指令を主人公の3名――久米・宮古・輪島――は、日本の未来を憂いて、そして日本を転覆させようと活動する組織を信じて命令を忠実に実行する。
だが、意味不明な命令に対して、理由を求めるようになる。その命令の目的を知るのと知らないのでは、モチベーションや実行する際の効率にも影響するからである。
テロリストの3名は自分たちで指令の内容を推理しますが、上手な答えは導かず……。
そこで登場するのは探偵役の「串田」。串田は3名の指令に対して合理的な解釈を与えてくれます。その内容はどれもテロと言っても差し支えない。
「これがテロ行為に繋がるのか……」と、納得できるのもあれば、「上手く状況が整えばね」と、バタフライエフェクトのようなものも。まあ、それが石持浅海の作風でもあるのですが。
そして最後は驚愕でした。
まさか自分たちのテロ行為が、回りに回ってこういった結果に繋がるとは予想もできませんでした……。
続編もあるらしいので、是非ともそちらも読んでみたいです。
国民の不信感を煽る、という様々なテロ行為。
どれも奥が深かったです……。
こんな人におススメです
・不可解なテロ行為に興味がある人。
・通勤、通学中にサクッと本を読みたい人。
・バラエティに富んだ短編集を読みたい人。
・このシリーズ作品を追っていきたい人。