たぬき。
お、これまた可愛い女の子が表紙になっていますね。
表紙に騙されてはいかんよ。
物語は「不思議な国」をモチーフにしているが、きわどい描写もあるからな。
まさか、ハートの女王の「首をお跳ねっ」があるんでしょうか……。
概要
十歳の誕生日を迎えたアリスは、父親から「極上の謎」をプレゼントされた。それは、ウサ耳形ヘッドギア“ホワイトラビット”を着けて、『不思議の国のアリス』の仮想空間で謎を解くこと。待ち受けるのは五つの問い、制限時間は二十四時間。父親のような名探偵になりたいアリスは、コーモラント・イーグレットという青年に導かれ、このゲームに挑むのだが―。(「BOOK」データベースより)
個人的ポイント
登 場 人 物 : 不思議の国の住人がいっぱい。
文 章 力 : ライトな書き口。好き嫌いは別れるかも。
テ ー マ : 本当の自分を見つける物語。
ト リ ッ ク : 仕込みに仕込んだ伏線に驚き。
後 読 感 : 伏線の回収は見事でした。彼の他の作品も楽しみです。
10歳の誕生日に贈られたVRゲーム。
このVRの世界を舞台に5つの「極上の謎」を解いていくぞ。
感想
ミステリ小説って「不思議の国のアリス」をテーマにしている作品が多いですが、この作品もそんな一冊。
主人公の名前も「アリス」と一致していますが、「不思議の国」に迷い込む方法が、VRというのが現代っぽいですね。
物語は連作短編集となっていて、どの話も「不思議の国」をイメージした謎ばかりです。
ひとつめは、大きくなったり、小さくなったりして、密室からの脱出。
ふたつめは、胡椒が大量に飛び交う家で起きた誘拐事件。
みっつめは、お茶会で起きた「暗号」をテーマにした殺人事件。
よっつめは、ハンプティダンプティの転落事故の真相を解く。
最後は、白兎との鬼ごっこだったのだが……?
どの話も、トリックはよく練られており、論理的に消去法で犯人を指摘するのは本格ミステリとして、とても楽しめました。
不思議の国の登場人物との会話も、この作品の魅力のひとつです。
ピントが外れたような会話や、小馬鹿にしたような会話。どれも不思議の国ならではで、会話も楽しめました。
そして、最後の最後での伏線回収は圧巻の一言。
全く関係のない今までの短編が実は「共通」していたとは、誰が予想出来たでしょうか? 物語を綺麗に収束していく手腕は見事でした。
この調子で、今後の本格ミステリの業界を盛り上げていってほしいです。
主人公の「アリス」は格好良いし、可愛い!
名探偵を目指す彼女は是非とも、父親のような立派な探偵になって欲しいです。
こんな人におススメです
・不思議の国をモチーフにしている作品を読みたい人。
・5つのサクっと読める短編集を読みたい人。
・最後の伏線回収に驚愕したい人。
・VRを利用したトリックを読みたい人。