今回は〔少女庭国〕という一風変わった小説を紹介するぞ。
少女庭国、ですか……。
なんか甘い響きがする作品ですね。
そんな事を言っていられるのは、今の内だぞ……。
そ、そんなにヤバい作品なんですか……。
概要
卒業式会場に向かっていた中3の羊歯子は、気づくと暗い部屋で目覚めた。隣に続くドアには貼り紙が。“下記の通り卒業試験を実施する。ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ”。ドアを開けると同じく寝ていた女生徒が目覚め、やがて人数は13人に。不条理な試験に、彼女たちは…。中3女子は無限に目覚め、中3女子は無限に増えてゆく。これは、女子だけの果てしない物語。(「BOOK」データベースより)
個人的ポイント
登 場 人 物 : 多すぎて覚える必要まではないですね。
文 章 力 : とても特徴的な文章。慣れれば平気です。
テ ー マ : 実験動物をどこかイメージさせれました。
ト リ ッ ク : デスゲーム系かと思ったら大間違い! トリックなんてない。
後 読 感 : 薄い作品なのにドッと疲れたました……。
かなり特殊な小説といえる作品。
読む前はそうとうな覚悟をして読み始めるのをおススメするぞ。
感想
久しぶりに、小説を読むのを中断しようか迷った作品でした。
何もない部屋に閉じ込められた卒業間近の女子中生。そこから13人の女子たちが脱出を図る……。デスゲーム系かな? と思って購入しましたが、これが大きな誤り(嬉しい誤算?)でした。
この小説は下記の卒業試験に集約されます。
「ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ」
ん? どういうこと? と混乱しますね。
まず状況は以下のようになっています。
・何もない石の部屋に閉じ込められる。
・前方の扉は開くことができる。
・後方の扉は開くことができない。
・前方の扉を開くと、その部屋にいる女子中学生が覚醒する。
つまり、先程の公式に当て嵌めると……。
ドアを開けた部屋が3つなら、卒業生が2人死ねば開放される、ということ。
この問題を理解しないで、ドアを開け続ければそれだけ死ぬ生徒は増える。しかも救われる人数は1人だけ。
更におそろしい事に、このドアに終わりがないのです。幾ら開けても開けてもずっと部屋は続いている。だからゴールはあの卒業試験のみ。
こんな状況下で、少女たちはどんな行動を取るか?
終着点があると信じ、どんどん進んで、集団で殺し合い。
ドアをひとつしか開けずに、2人で殺し合い。
出口を求めて、石の部屋を掘り進めていく。
卒業を捨てて、女子中生を食料として、生き続ける。
石の部屋で文明を発展させて、この部屋で死んでいくことを望む。
……そういった色んな様々な「可能性」をこの小説で語ります。とても重たい小説でもありました。
まるで、少女たちが苦しんで何もない石の部屋を進んでいくように、私自身もとても苦しかったです。頭がおかしくなるような感覚が確かにありました。
人を選ぶような小説だと思います。
軽々しい気持ちで読み始めたら、手痛いしっぺ返しを貰うかもしれません……。
こんな人におススメです
・かなり特殊なSF作品を読みたい人。
・女子中学達がたくさん登場する作品を読みたい人。
・グロイ描写が平気な人
・特殊な経緯で発展する文明の経過を読みたい人。