今回はちょっと変わった探偵の登場だぞ。
「人形はこたつで推理する」だ。
すると、人形が探偵役ということですか?
でも、その人形を操るのは腹話術師ですよね?
その通りだが、この腹話術師は「二重人格」なんだよ。
もうひとつの人格が「人形」を通じて現れるんだ。
え、それは面白い設定になっていますね。
概要
鞠小路鞠夫―私が密かに思いを寄せる内気な腹話術師・朝永嘉夫が操る人形の名前です。出会ったのは幼稚園のクリスマス会。園で飼っている兎が死んだ事件を見事な推理で解決してくれました。そう、「彼」は実は頭脳明晰な名探偵だったのです。異色の人形探偵コンビが大活躍する青春ユーモア・ミステリー。(「BOOK」データベースより)
個人的ポイント
登 場 人 物 : メインは3名だけなので覚えやすく、愛着が湧きました。
文 章 力 : 読みやすく、くすっと笑えるような文章でした。
テ ー マ : 自分という「殻」からの脱却、だろうか?
ト リ ッ ク : どれも粒ぞろい。特に密室トリックについては一読の価値あり。
後 読 感 : とても後味が良い。今後の三人の活躍にも期待です。
4つの話が収録されている短編集だ。
ラブコメ要素もあって、キャラクターに愛着を持ってしまう一冊だ!
感想
とても口当たりが良い、上質なミステリ小説でした。
謎自体はライトなものではありますが、どれも一工夫されているもので、純粋なミステリ好きでも楽しめる作品になっていると思います。
しかし、ミステリ要素の他にあるのが恋愛要素、というか人間関係が読んでいてとても楽しい!
ワトソン役の妹尾睦月――おむつ――と腹話術師の朝永嘉夫。そして、人形の鞠小路鞠夫。
彼らの会話劇はまるでひとつの「劇」を観ているようで、飽きることなく、テンポよく、それでいて笑わせてくれるのです。この3人に愛着が湧いてしまって仕方がない(*'▽') おむつと朝永の恋の行方がどうしても気になってしまうのです( ̄▽ ̄)
出版されてから結構年代が経つのにも関わらず、愛されている理由が分かりますね(^^♪
トリックが一番好きだったのは、2話目の「人形はテントで推理する」です。
テントという密室内で人が死体で発見される。容疑者にされたのはおむつの恋敵であり、朝永の同僚の女性。彼女を助けようと、ヤキモキするおむつが、とても可愛らしかったです(笑)
密室とテント、という組み合わせは中々なく人形の鞠小路鞠夫の推理には唸りました。
我孫子氏もこのトリックを気に入っているようで、あとがきにその旨が書いてありました。
是非とも、今後もこのシリーズを追っていきたいと思います。
読んでいて楽しくなった一冊でした。
軽いミステリとして読むもよし、ラブコメとして読んでも満足できる一冊でした。
こんな人におススメです
・ユーモア短編推理小説を読みたい人。
・ちょっと変わった探偵が活躍する推理小説を読みたい人。
・安楽椅子探偵のような推理小説を読みたい人。
・恋愛要素もある推理小説を読みたい人。