シリーズの特徴と順番
意外性があるという作品を選ぶとすれば私は、早坂吝の「上木らいちシリーズ」を挙げるでしょう。
このシリーズ作品は、できるだけ順番に読んで欲しい作品です。
物語の性質上、バラバラに読んでも特に影響はありませんが、十全に物語を楽しむなら、やっぱり順番に読むのをおススメします。
さて、このシリーズですが、特徴的な探偵が主人公(探偵役)がいます。
その名も――上木 らいちです!
なんと、女子高生! そして、援助交際をして生活しているという、今までにない設定の探偵です(汗)
そんな探偵の設定を生かして(?)、このシリーズはとにかくエロを絡めてくる。
ハニートラップを仕掛けたり、トリックに性行為を用いたり、とんでもないプレイが設定にあったり……と、全シリーズを通じて、エロい。
しかし、このシリーズの特徴は何もこれだけではありません。
それは意欲的に色んなテーマを取り込んでいること。
クローズド・サークルの作品だったり。
社会派ミステリだったり。
トンデモ設定を使ったり。
密室を取り扱ったり。
バカミスのような作品だったりと。
とにかく、作品のひとつひとつがどれも全く別の面白さがこのシリーズにはあんです。
だから、どの作品を読んでも新鮮な気持ちで読むことが出来るんです。
このシリーズの特徴としては、以下の通りです。
・ミステリとエロの融合。
・軽い文章でサクサクと読める。
・意欲的に様々なテーマを作品に組み込んでいる。
・早坂吝の他の作品を読んでいる人。
ひとつでも自分に興味がある項目があれば、是非とも読んでみては如何でしょうか?
シリーズの紹介
1.○○○○○○○○殺人事件
アウトドアが趣味の公務員・沖らは、仮面の男・黒沼が所有する孤島での、夏休み恒例のオフ会へ。赤毛の女子高生が初参加するなか、孤島に着いた翌日、メンバーの二人が失踪、続いて殺人事件が。さらには意図不明の密室が連続し…。果たして犯人は?そしてこの作品のタイトルとは?第50回メフィスト賞受賞作。
メフィスト賞受賞作品!
前代未聞の「タイトル当て」の作品だぞ!
「犯人当て」ではなく、た、タイトル当てですか……。
そんな作品でデビューするとは、早くも奇才の片鱗が窺えますね……。
2.虹の歯ブラシ 上木らいち発散
援交探偵・上木らいちが住む高級マンションの自室には、曜日ごとに通ってくる固定客用に虹色の歯ブラシが揃えられている。現場に女性の胸部の死斑変化を記録したカラーコピーが残されていた事件、セックス教団の教祖が密室で殺害された事件…エロい難事件の数々を、らいちがロジックで鮮やかに解き明かす!
短編集だが、とても斬新な仕掛けが施されているぞ!
上木らいちという人物をもっと知る事が出来るぞ。
奇想天外なトリックばかりですね。しかもどの作品もエロい。
そして、最後の最後の仕掛けは驚愕です。
3.誰も僕を裁けない
援交少女にして名探偵・上木らいちの元に、「メイドとして雇いたい」という手紙が。しかし、そこは異形の館で、一家を襲う連続殺人が発生。一方、高校生の戸田公平は、深夜招かれた資産家令嬢宅で、ある理由から逮捕されてしまう。らいちは犯人を、戸田は無実を明らかにできるのか?エロミス×社会派の大傑作!
メイドとして雇われた上木らいちは、一風変わった館で働く。
そこでは、またエロが絡んだ殺人事件が!
社会派ミステリと上手に融合出来ていてビックリです!
まさか、こんな結末になるとは思いもよりませんでした……。
4.双蛇密室
援交する名探偵・上木らいちの「お客様」藍川刑事は「二匹の蛇」の夢を事あるごとに見続けてきた。幼い時に自宅で二匹の蛇に襲われたのが原因のようだが、その裏に藍川の両親が関わった二つの密室事件が隠されていた。らいちが突き止めた前代未聞の真相とは?「本格」と「エロ」を絶妙に融合した人気シリーズ!
今度のテーマは密室殺人事件。
上木らいちのバディ的存在の、藍川刑事の出生の秘密を探るぞ。
ふたつの密室事件の解決に乗り出すんですね。
トリックはかなりぶっ飛んでいて、とても驚きました!
5.メーラーデーモンの戦慄
メーラーデーモンを名乗る者から「一週間後、お前は死ぬ」というメールが届いた後、殺害される連続殺人が発生!「お客様」を殺された上木らいちは捜査を開始。被害者は全員、X‐phone社のガラケーを所有していたことが判明する。一方、休職中の元刑事・藍川は「青の館」で過ごすが、小松凪巡査部長のピンチを知り、訳ありの宿泊者たちと推理を展開。らいち&藍川、二人は辿り着いた真相に震撼する!!
今までのシリーズ作品の登場人物たちがたくさん出てくる作品。
他にも作者自身の名前も登場して、とても楽しめる作品だ。
「犯人当て」のクイズもあって面白いですね。
この作品はシリーズ最高傑作も名高い作品になっています!
最後に
このシリーズは、今まで刊行されていた推理小説の「枠」をある意味、飛び出たシリーズになっています。
設定然り、探偵然り、トリック然り、と……。
普通の推理小説に読み飽きた人は是非とも読んでみては如何でしょうか?
ぶっ飛んだ設定やトリックに度肝を抜かれること、間違いなしのシリーズです!
軽い文章なので、アッというまに読めると思います。
