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【孤独死の奥に潜む闇】〝絶叫〟葉真中 顕―――居場所を求めた1人の女性


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社会派サスペンスの「絶叫」を紹介していくぞ。

社会派、というと法律やら裁判とかをテーマにしているんですか?

いいや、今回はそういった話ではない。
孤独死した1人の女性の壮絶な半生を描いた物語なんだ。

孤独死ですか……。昨今では大きな問題でもありますね。

概要

 

マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ…。辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!?ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作!(「BOOK」データベースより)

 

個人的ポイント

 

登 場 人 物 : 鈴木陽子が不憫で哀れで、痛々しくて。とても辛い。

文   章   力  : とてもスイスイ読める作品でした。

テ   ー   マ    : 孤独死、保険、そして「居場所」。

ト リ ッ ク : まさか、こんな、と開いた口が塞がりませんでした。

後   読   感  : 鳥肌が立って、呆然としてしまいました。

 

なんの変哲もない「孤独死」。
普段なら簡単に扱う案件だが、その裏には恐ろしい陰謀が……。

 

感想

 

この作品は、今まで私が読んできた本の上位に食い込む程のクオリティでした。

600ページ以上あるのにも、それが全く苦にならない。どんどんと物語にのめり込み、没頭しました。文章も読みやすく、物語も丁度いい所で場面転換されており、全く飽きる事がない。

日本の大きな課題になっている「孤独死」。

今の日本は未婚率が上がり、それに比例して出産率も低下し、高齢化社会になっている。今や高齢者だけが「孤独死」を迎える訳ではない、中高年も充分に孤独死も決して珍しくはない。

そんな40代の女性がマンションの一室で孤独死を迎えた。

室内には10匹以上の猫の死骸を残して、腐敗も進み切っており、猫に身体を食べられて、死後半年以上は経過しているとみられた。

刑事の綾乃は死体の「鈴木陽子」に違和感を覚えて、調査に乗り出す。

これは果たして、単なる孤独死なのか? 事件性があるのではないか?

今の日本社会が抱えている女性問題を上手に作品に取り込んでいると思いました。 

親に依存した人生。

地方での就職。

結婚、あるいは実家暮らしありきの給与。

結婚し、離婚して東京に出ても、1人で生きていくには窮屈すぎる。

ブラック企業に就職しても枕営業して成績を伸ばしていくしかない。

風俗に墜ちて、ホストに貢ぐ日々。

そして辿り着いたのが、保険金殺人。

彼女の「居場所」はどこにあるのか。

どんどんと転落していく彼女。憐れみ、憎しみ、絶望感が混ざり合った感情はなんとも言い難く、ただただ辛い。

陽子は、ただ幸せになりたかっただけ。自分の居場所を見つけて安寧としていたかっただけ。

だけども、彼女はどこで道を誤ったのか。何のために生まれ、何のために生きていったのか。

衝撃のラストは鳥肌がゾクッと粟立ちました。久しぶりに爽快に騙されて、驚愕した一冊でした……。

社会派ミステリ作品が好きな方は是非とも読んで欲しい一冊です。

これは、あくまでフィクションでしたが、陽子のような境遇に身を置いている女性がいる、という事も忘れてはいけない。

 

なんとも壮絶な物語でした。
救いがないお話しかと思いきや、最後の最後でこんな展開になるとは。

 

こんな人におススメです

 

・濃厚な作品を一気読みしたい人。

・孤独死の裏に隠された壮絶な半生に興味ある人。

・生命保険について興味ある人。

・衝撃の展開に呆然としたい人。