雪だるまの本棚

本や自分の活動について発信します

【23年前の真実】〝幻夏〟太田 愛―――日本の冤罪に深く切り込む


スポンサーリンク

f:id:KuraMystery:20200606075956p:plain





 

今回は太田愛の「犯罪者」の続編、幻夏を紹介するぞ。

あの超巨編の続編ですか……。
前作は上下巻だったですが、今回は一冊なんですね。

そうだ。だが、内容は決して前作より劣っている訳ではない傑作だ。

また、あの3人の活躍が読めるんですね。

概要

 

毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。23年後、刑事となった相馬は、少女失踪事件の現場で同じ印を発見する。相馬の胸に消えた親友の言葉が蘇る。「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」あの夏、本当は何が起こっていたのか。今、何が起ころうとしているのか。人が犯した罪は、正しく裁かれ、正しく償われるのか?司法の信を問う傑作ミステリ。日本推理作家協会賞候補作。(「BOOK」データベースより)

 

個人的ポイント

 

登 場 人 物 : 多いけれど、登場人物がハッキリしているので、混乱しない。

文   章   力  : とても丁寧でした。

テ   ー   マ    : 日本の冤罪事件から起こる悲劇。

ト リ ッ ク : 「10人の真犯人を逃すとも1人の無辜を罰するなかれ」

後   読   感  : 感動すると同時に深く考えさせられた作品でした。

 

日本の司法制度と冤罪に深く切り込んだ一冊。
冤罪はどうして起きるのか? と考えさせられる物語だったぞ。

 

感想

 

読んでいる最中に「この本って上下巻じゃなかったよな?」と錯覚してしまう位に、重厚で、読み応え抜群の作品でした。

一気に物語の世界に入り込める。集中して読めるのだけど、手を休めてページ数を確認すると「あれ? まだこれだけしか進んでいない?」と驚く。それぐらいこの本はびっしりと情報、登場人物や作者の想い、そして読者の感動が込められていると感じました。

物語は前作の「犯罪者」の後。

相馬、鑓水、修司の3人が主役だけども、今回は左遷させられた逸れモノ刑事、相馬にスポットを当てた作品でした。

23年前の夏休み、ほんの少しの間に遊んだ友人が失踪した。そして23年経った後に、その母親からの捜索願いを鑓水は受ける。時同じくして、誘拐事件が発生。その誘拐された現場には「 / / = | 」という記号が残されていた。不可解にも23年前の事件にも、同じ記号が残されており、2つの事件の関連を調べる。

調査を進める内に、彼の父親の冤罪事件に辿り着くのだが……。

どうして、23年前に小学6年生の男児――尚――は失踪したのか?

彼の父親が受けた冤罪とは?

現在の誘拐事件との関連は?

謎の記号「 / / = | 」の意味とは?

そして、事件の裏に潜む日本の冤罪の闇とは?

謎が謎を呼ぶノンストップ社会派ミステリでした。

とても感動し、面白く読めた反面、勉強にもなった作品でした。

不勉強ながらも『検察官の判断』、という法を初めて知りました。

弁護士側には捜査機関が保有する証拠の全面的な開示を求める権利が求められていない。証拠の開示を決めるのは、検察官。

裁判ではすべての証拠が提出されると、私も思い込んでいました。日本ではこんな制度があるんですね。これは冤罪が発生する原因のひとつにもなりますね。

国に対して全面的証拠開示制度を求めるのも当然だと思います。

この本を読んで、日本の冤罪について深く知って理解を深める人がひとりでも増えれば、この国の不幸や悲劇は減っていくのではないでしょうか。

「知らない」、「知らなかった」だけでは、いつか自分が当事者になった時、困るのはいつも自分だ。

 

冤罪について、深く知ることもできますね。
面白くて、勉強にもなるなんて一石二鳥ですね。

 

こんな人におススメです

 

・前作、「犯罪者」を読んだ人。

・感動する社会派ミステリを読みたい人。

・日本の冤罪事件について興味ある人。

・重厚で、時間を忘れて本を読みたい人。