今回の作品のテーマは「昆虫」だぞ。
昆虫は……苦手です……。
にわとりなにに、情けない!
しかも、今回は主人公が「ゴキブリ」だぞ? そんなんで大丈夫かね!?
ゴ、ゴキブリが主人公ですって!?
概要
ある朝目覚めるとゴキブリになっていた元人間のペリプラ葉古。無類のミステリ好きだった葉古は、昆虫界の名探偵、熊ん蜂シロコパκの助手となった。人の論理が通用しない異世界で巻き起こる複雑怪奇な難事件を、クロオオアリの刑事の力も借りて見事解決していく!書下ろし「ジョロウグモの拘」を収録。昆虫と本格ミステリについてのユニークな注釈を新たに付加。(「BOOK」データベースより)
個人的ポイント
登 場 人 物 : 昆虫の名前が憶え辛いかも。
文 章 力 : 昆虫の蘊蓄もすっと頭に入ってくる。
テ ー マ : 昆虫。またはその生態。
ト リ ッ ク : トリックというよりも昆虫の生態を取り入れている。
後 読 感 : 昆虫のことをもっと知りたくなりました。
昆虫をテーマに扱った推理小説は初めてだ!
それにしても、著者の昆虫愛は凄まじい!
感想
主人公が昆虫。
ましてやゴキブリ、という推理小説は本書が史上初ではないでしょうか。
人間から気が付いたらゴキブリに「変身」していた主人公。
そんな彼は「熊ん蜂探偵事務所」の助手として、様々な昆虫にまつわる事件と遭遇していく、というのが基本。
しかし、本書が楽しめるのは何も「昆虫好き」の人間だけではないのが凄い。
推理小説は好きだけど、虫はちょっと……、と敬遠している人は是非ともこの本を手に取って欲しいです。
何故なら、この小説の各章はどれも有名な推理小説を模しているからです。
それらがこちら。
・蝶々殺蛾事件
・哲学虫の密室
・昼のセミ
・吸血の池
・生けるアカハネの死
・ジョロウグモの拘り
・ハチの悲劇
……どこかで聞いた(読んだ)ことのある作品ではありませんか?
これら有名な作品にちなんだ昆虫にまつわる様々な「謎」が用意されているのです。
しかし、どれも奇抜なトリックという訳ではなく、ちゃんと昆虫の生態に基づいた、昆虫ならではの謎なんです。
私達の知らなかった昆虫の姿を知る、良い機会になりました。
こんな昆虫がいたんだ。
この昆虫は、こんな役割を持っていたんだ。
こんな昆虫が自分たちの暮らしに関係していたんだ。
と、昆虫の知識を蓄えることが出来ました。
昆虫好きでなくとも、推理小説好きなら、読んでみたくなりませんか?
たぬき探偵が好きそうな、ラインナップですね……。
これは有名作品を読んでいたら、もっと楽しく読めるのではないでしょうか。
こんな人におススメです
・昆虫が好きな人。
・一風変わった推理小説を読みたい人。
・本格推理小説を色々読んでいる人。
・オマージュ作品を読みたい人。