倒叙ミステリとは
さて。
唐突だが、推理小説において「ミステリ」と「サスペンス」
この違いが分かるかね? にわとり君。
え? 同じなんじゃないですか?
違うわ! 簡単にテレビドラマに例えれば……
ミステリは「金田一耕助」、
サスペンスは「古畑任三郎」だ。
何となく分かったような、分からないような……
つまり、ミステリは探偵が主人公。
サスペンスは犯人が主人公とされているのだ。
おお。分かりやすい。
辞書でサスペンスは下記のように定義されているな。
不安感や緊張感。特に映画・小説などで,危機的な場面に観客・読者が覚える,はらはらする感情。 「スピード・スリル・-」 「 --ストーリー」
その犯人が主人公とされている物語を
「倒叙ミステリ」と呼ぶのだよ。
「とうじょミステリ」ですか。読み辛い。
辞書で「倒叙」とはは下記のように定義されているらしい。
時間的な流れを逆にさかのぼって叙述すること。 「 -日本史」
随分意味が違っていますね。
うむ。
しかし推理小説の間では、「サスペンス=倒叙ミステリ」となっているのだ。
倒叙ミステリの魅力
しかし犯人が主人公の物語って面白いんですかね?
ほう。何故そう思う?
だって推理小説って、誰が犯人か分からず、それを追い詰めていく探偵の活躍と推理が面白いんじゃないですか?
それで? 続けたまえ。
犯人があらかじめ分かっているって面白さが半減のような……。
にわとり君にしては、上手にまとめているな。
よろしい。
私が倒叙ミステリの魅力を伝えよう。
・犯人の心理描写
推理小説を読んでいて「犯人の動機が納得出来ない」って思う事があるだろう。
ええ。
たまに「え! こんな理由で人を殺したの?」って思う事がありますね。
しかしこの「倒叙ミステリ」は犯人が主人公だからな。
犯人が犯行に至るまでの動機が細かく描写されている。
つまり「倒叙ミステリ」では犯人の心情を丁寧に書かれていて、
感情移入がしやすいということですね。
・犯人の犯行計画
これも推理小説を読んでいて「犯人はこんなトリックを使ったのか!」
、と思う時があるだろう。
「こんな大掛かりな」「どうやって思い付いたんだろう」って思う事がありますね。
うむ。
しかしこの「倒叙ミステリ」なら……
犯人視点だから、トリックの細部まで分かるという事ですね!
・詰将棋を思わせる独特のスリル
探偵は最後には必ず勝つ!
そうか!
この「倒叙ミステリ」も最後には探偵が犯人を捕まえるんですね……
その通り。
ここまで読んでしまうと、つい犯人を応援してしまうのだよ。
でもどうして!
犯人はあんな緻密な犯行計画を立てていたのに、
なんで捕まってしまうんだ……
そこだよにわとり君。
犯人がいくら完璧な計画を立てようとも、
探偵は必ず綻びを見つけ出し、犯人を追い詰める。
「犯人はどこでミスをしたのか?」そこも読みどころなんですね。
じわじわと犯人が追い詰められていく、独特のスリルを味わえるのが「倒叙ミステリ」の面白さでもあるのだよ。
倒叙ミステリの作品
作品紹介は別の記事で紹介するぞ!
公開までしばらくお待ち下さい。
最後に
今回は倒叙ミステリという一風変わった「犯人視点のミステリ」をご紹介しました。
普通のミステリとは違った面白さがあるので、ミステリファンの方は是非一度読んでみてはどうでしょうか。
しかし、倒叙ミステリは数が少ないのも確か。
有名どころも押さえつつ、なるべく皆さんの知らないような作品を紹介していくよう努めます。
