あー。こんな女性が我が探偵事務所にいてくれれば……。
どんな女性なんですか。そのたぬき探偵が推す女性は?
美人。可愛い。スタイル良し。器量良し。性格良し。放っておけない。しかも人妻。
人妻に手を出しちゃいけませんよ!
概要
独身獣医の伯朗のもとに、かかってきた一本の電話―「初めまして、お義兄様っ」。弟の明人と最近、結婚したというその女性・楓は、明人が失踪したといい、伯朗に手助けを頼む。原因は明人が相続するはずの莫大な遺産なのか。調査を手伝う伯朗は、次第に楓に惹かれていくが。恋も謎もスリリングな絶品ミステリー。(「BOOK」データベースより)
個人的ポイント
登 場 人 物 : 親族が多い場面もあるが、重要人物は絞られているから、分かりやすい。
文 章 力 : 相変わらずの文章力。読みやすい。
テ ー マ : 天才は幸せになれるのか?
ト リ ッ ク : テーマが深い。トリックはこれといったものがないが、最後の真相にはビックリ。
後 読 感 : 主人公の伯郎の恋が実って欲しいですね。
シンプルな話だが、奥が深い小説。
シンプルだが飽きさせることなく、一気に読める作品でした。
感想
最近の東野圭吾は医療ミステリが多い傾向にありますが、今作もそんな傾向に漏れず、医療を一部テーマにしています。
話の筋は非常にシンプル。
自分よりも秀才な弟が海外から日本に帰国して数日後に失踪する。その弟の失踪に疑問を持った弟の妻が、主人公の伯郎を頼って弟の行方を捜す、というストーリー。
明らかにその弟の妻は怪しい。弟の好みとは違うというし、馬鹿っぽい言動をするくせに頭は切れる。絶対に裏がある!この女は弟の事を殺していて、遺産目的で妻を名乗っているんじゃないか……、と予想しながら読みました。
しかし、読めば読む程、この女性には惹かれるんですよね。放っておけないような性格で、妖艶という言葉がぴったり。更にスタイルもいいとなれば、主人公でなくとも惚れてしまうのではないでしょうか(笑)
そしてそんな彼女に翻弄される伯郎も面白い。良いバディものの作品でもあります。
そして、複雑に絡み合う親族とのドロドロした遺産問題。
自分が育った家にある秘密。病で死んだ父親が描いた「絵」。そして、母親の不審死の謎とは。
弟の行方と、その妻の正体とは?
一本の軸を決して見失うことなく、ここまで話を広げられるのは相変わらず凄いな、と思いました。
実は結構テーマがある小説だと思いました。
家族、天才、医療。そして恋愛。綺麗にまとまっている小説です!
こんな人におススメです
・医療ミステリが好きな人。
・家族の大切さを感じたい人。
・天才の「作り方」に興味がある人。
・ミステリアスな女性に興味がある人。