なんて、器用な作家なんだ・・・・・・。
この小説、8つも短編が収録されているんですか。
ああ、しかも濃く、バリエーション豊かで更にどれもレベルが高い。
いい所ばっかりじゃないですか・・・・・・。
概要
二日酔いで目覚めた朝、寝室の床に見覚えのない女の死体があった。玄関には鍵がかかっている。まさか、俺が!?手帳に書かれた住所と名前を頼りに、女の正体と犯人の手掛かりを探すが―。(「女が死んでいる」)恋人に振られた日、声をかけられた男と愛人契約を結んだ麻紗美。偽名で接する彼の正体を暴いたが、逆に「義理の息子に殺される」と相談され―。(「憎悪」)表題作他7篇を収録した、どんでん返しの鮮やかな短篇集。。(「BOOK」データベースより)
個人的ポイント
登 場 人 物 : どの作品にも魅力的な登場人物ばかりでした。
文 章 力 : デビュー作から変わらず、凄く上手い。
テ ー マ : 8つの短編それぞれ、テーマが設定されている。
ト リ ッ ク : 8つそれぞれ、一捻り加えられたトリックで、面白い。
後 読 感 : この作家の器用さを改めて痛感しました。
約400ページの本なので、50ページぐらいでひとつの作品だ。
しかし、この50ページにぎっしりと内容が詰まっているぞ!
感想
帯の煽り文句通り、どれもどんでん返しの8連発! 幾つか予想出来た作品もありましたが、どれも高レベルの作品ばかりでした。
くどいようですが、どの作品もどんでん返し作品です。
叙述トリックとはちょっと違う面白さがあり、どの作品もまったくタイプが違う物ばかりです。
以下に、特に自分が気に入った作品を紹介したいと思います。
・殺意の形
女の独白と、刑事の調査で交互に物語が展開されていきます。
女は復讐者。自分の大切な男性を亡くした。
警察は毒殺された会社員の調査を行う。
この単純な構図が思わぬ結末を生むんです。単純がからこそ、騙されてしまうのかもしれませんね……
・病んだ水
これは誘拐ものです。
身代金って普通は高額で法外な金額を要求しますよね。
しかし、この誘拐犯の要求額はたったの20万円。かなり怪しいですよね。ただの悪戯ではないか? と疑いますよね。
だが、実際に誘拐はされており、しかもきっちり20万円も奪われてしまうのです!
20万円を奪った方法は? 何故、20万円という金額だったのか?
8つの短編が収録されているのは紹介した通りですが、そのどれもがヴァリエーションが豊かで飽きる事がないんです。
それは他の作品にも同じことが言えて、尚且つ一定のクオリティがあるので、どの著者の本を買っても後悔することはないでしょう。
とても器用な作家さんですね!
この作家の様々な一面を垣間見る事ができた、気がします!
こんな人におススメです
・短編小説を読みたい人。
・サクッと濃厚な小説を読みたい人。
・バラエティに富んだ小説を読みたい人。
・どんでん返しが好きな人人。