おお、なんて面白いホラーミステリなんだ・・・・・・。
ほ、ホラーミステリですか。
「本格ミステリ・ベスト10」2016年版(国内部門)11位、
「週刊文春ミステリーベスト10」(2016年、国内部門)14位。
黄金の本格ミステリー(2017年)にも選ばれているぞ!
面白いんだろうけど、恐ろしいですね・・・・・・。
概要
敗戦に志を折られた物理波矢多は、九州で炭坑夫となる道を選ぶ。意気投合して共に働く美青年・合里光範もまた、朝鮮人の友を過酷な労働に従事させた過去に罪悪感を負っていた。親交を深める二人だが、相次ぐ変死体と“黒い狐面の女”の出現で炭鉱は恐怖に覆われる。ホラーミステリーの名手、新シリーズ開幕!(「BOOK」データベースより)
個人的ポイント
登 場 人 物 : とても丁寧に書かれていて、分かりやすい。
文 章 力 : 相変わらずの文章力。恐怖を煽るのがとても上手。
テ ー マ : 敗戦した日本の炭鉱について深く切り込んでいる。
ト リ ッ ク : 全てが密室殺人。しかも被害者はしめ縄で首を・・・・・・。
後 読 感 : 素直に面白かった。また続編を読みたい。
とっても濃厚な一冊。
まるで炭鉱の奥へ進むようにどんどんこの小説にのめり込んでいくぞ。
感想
ちょっと、ホラー少な目のミステリ小説。ホラー3:ミステリー7ぐらいの割合でしょうか。
三津田信三らしいゾッとする上質なホラーミステリでした。
刀城シリーズとはまた別のシリーズ作品。
その名も、物理波矢多シリーズ。
敗戦後の日本の炭鉱について、とても詳しく書いており、その時勢が良く分かりました。その敗戦にショックを受けた物理波矢多が本作の主人公。
エリートでありながら波矢多はわざわざ底辺ともいえる炭坑夫で働く事を選び、毎日死と隣り合わせの炭鉱へ潜っていきます。なんで、わざわざそんな場所で働くのか・・・・・・? それにもちゃんとした理由があるのです。
そんな時に、波矢多は仕事仲間から「黒面の狐」についての恐ろしく話を聞く。
・・・・・・この話が本当に恐ろしい。場面を想像すると思わず身震いしてしまいます。
そして、炭鉱に次々と変死体が現れるのです。
それも、しめ縄を使った自殺にも見える密室下で。しかもその現場には「黒面の狐」が目撃されていた!
う~・・・・・・ん。面白い。これぞ、三津田信三の真骨頂ですね。
そして、事件の解決。
これも、私好みのいわゆる「多重推理」。
色んな可能性を検討して、じわじわと犯人に迫っていく推理は、読み応えあり。
あらゆる解釈をして、犯人と「黒面の狐」の正体を追っていく・・・・・・。
そして、驚愕の事実とは!
お、恐ろしい・・・・・・。
でも、ページを捲る手が止まらない・・・・・・。
こんな人におススメです
・ホラーミステリを読みたい人。
・濃厚なミステリ小説を読みたい人。
・炭鉱についての物語を読みたい人。
・密室殺人について興味がある人。