雪だるまの本棚

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【静謐な描写】〝湖底のまつり〟泡坂 妻夫  ――あたなも必ず惑わされる


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これは、何という・・・・・・。

どうしたんですか。珍しく言葉を失っているようですが。

私の陳腐な感想では、とてもこの作品の素晴らしさを語れない。
いいや、私が感想を語るのもおこがましい・・・・・・。

あの、自意識過剰のたぬき探偵が・・・・・・。どうなっているんだ。

概要

 

傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。ロープを投げ、救いあげてくれた埴田晃二という青年とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。村祭で賑わう神社で、紀子は晃二がひと月前に殺されたと知らされる。では昨日、晃二と名乗っていた人物はだれか。読む者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない泡坂妻夫の華麗な騙し絵の世界。(「BOOK」データベースより)

 

個人的ポイント

 

登 場 人 物 : とても作り込まれている。

文   章   力  : 文章からあふれ出す描写がとても綺麗です。

テ   ー   マ    : 自分探し、といった感じでしょうか。

ト リ ッ ク : トリックというよりも世界観が読みどころかも。

後   読   感  : 名残惜しい。もっとこの小説を味わいたい。

泡坂 妻夫の傑作のひとつ。
この小説は本当は、口コミや感想を見ないで読んだ方がいいのかも知れない。

 

感想

 

この作品は1970年代に刊行された、古い作品でもあります。

しかし、名作は色褪せる事はない、と改めて認識させられる作品です。

この小説の世界観に浸っているとあっという間に結末まで辿れます。

山奥の舞台が、はっきりと目に浮かぶのです。

音や匂い、温度に雰囲気。そういった「世界」がこの紙面から伝わってくるのが凄い。

また、この小説は4つの章に別れており、この4つが謎の肝。

まるで湖の水面に写った謎で我々読者を魅了してくれます。

個人的には、静かな山や公園で読むのがベストです。

この美しい世界にどっぶりと浸って欲しいです。ミステリ小説なのにどこか癒される不思議な小説でした。

 

こんな人におススメです

 

・綺麗な世界に入り込みたい人。

・他視点の小説を読みたい人。

・気持ちよく惑わされたい人。

・傑作と呼ばれる小説を読みたい人。